Bird Cage


行為が終わり、大きな丸いバスタブに泡を這って薔薇の花びらなんかを浮かべてみる。二人でシャンパンで乾杯をして私は小鳥遊部長の意外に鍛え抜かれた胸元に背を預け
「おいしー」とこれまた高いんだろうな~とぼんやり思いながらシャンパンを一口。まるで海外セレブになった気分に浸らせてくれる小鳥遊部長はアフタフォローも仕事のように完璧だ。

シャボンの泡がまるで小さなシャボン玉、診ように寄っちゃキャンディにも見える。赤いバラは水に落としたルージュのように映え女なら誰でも一度は夢見るシチュエーションに仕事のことをいっとき忘れられる。

私の背後で同じようにシャンパンを飲んでいた小鳥遊部長はシャンパングラスを置いて、私の左手をそっと握ってきた。
細くて長い指、熱い―――掌だった。

「どうしたんですか?」

鳥飼にはため口なのに、小鳥遊部長には敬語。変なの。同じ同期だっていうのに。部長と部下と言う関係もあるかもしれないけれど。
きっと私は人のどこか深い部分に―――入り込みたくなかっただけだ。
鳥飼の一件以来誰と接するのにも距離を取るようになったように。
そう言えば、あの二人仲が悪くなったのはちょうどあの頃だったな。

小鳥遊部長はどこから取り出したのか私の左手にそっと指輪をはめた。
それはキラキラ光るダイヤモンドをふんだんにちりばめた


エンゲージリング―――?


「結婚しないか?」


一瞬、耳を疑った。

「え……でも私、仕事が……」
あまりにも突然のことで間抜けなことを答えていた。

「君が仕事を続けたい、と言うのならそうしたらいい。辞めて主婦になりたいというのもいい。君の自由にしていいから
結婚、してほしい」

振り返るとメガネを取り去った真剣な視線とバッチリ目が合った。黒い髪は湯気でセットが崩れていて額に垂れ下がっているし。こんな姿初めて見るわけではないけれど、何故かドキリとした。その強い視線が冗談―――には思えなかった。


けれど

私は首を横に振った。