いや曖昧ながら覚えている。二年前やはり夜まで残って事務作業をしていたらもう一人だけ残っていた小鳥遊部長に飲みに誘われたのだ。これまた高級ホテルの夜景の見えるラウンジで見るからに高そうなウィスキーを飲んだ覚えはある。まるで恋人同士のデートのシチュエーションに戸惑ったが、その時の小鳥遊部長から下心の”し”の字も感じられなかった。
少なくともあの時は。
いつもの無表情を張り付けてちょっとはロマンチックなことを言ったりしてくれるのかと思ってたがいつも通りの鉄面皮と淡々とした口調。
しかしそれは私が今まで飲んだ安物のどんなお酒よりおいしく、また都会を見下ろせる夜景が拍車をかけた。
ロマンチックな話になるかと思ったが小鳥遊部長はやはり小鳥遊部長で、会社での口調を一切崩さず、私の仕事に対する情熱は評するが無理をするな、と言ってくれた覚えがある。
その日は何杯飲んだのか分からなかったが、次の日目覚めたら……もうお決まりのコースよね。ベッドで小鳥遊部長と裸で寝ていた状態。それがはじまり。
でも私たちは付き合っているわけではない。「付き合おう」と言われてないし「付き合って」とも言っていない。
体だけの軽い関係。それがちょうどいい。もう二度と苦しい思いをするのはごめんだ。
「小鳥遊ぶちょ……」とキスの合間に問いかけると
「光輝、今だけはそう呼んでよ」とまるで会社にいるときは別人のようにねだるような甘い声。その声が私の腰や首筋を震わす。
「こう……」名前を呼び終わらないうちに私のスカートの間から彼の大きくて温かい掌が私の太ももをなぞる。
「ちょっと…シャワー浴びさせてください」と彼の唇に手をやり遮ると
「待てない」
と、せっかちに言われ、私はお姫様抱っこをされながらベッドに押し倒させる。
何だろう……今日はやけに性急な……
いや、彼は時々こうゆうときがある。嫌なことを発散しているのか、と最初はそう思ったが最近ではそう思わなくなった。
何故なら彼の口づけには愛情が詰まっている気がしたから。
流れ込む。彼の愛情が私の口の中に。小鳥遊部長が私のこと、少なからず”女”として意識していてくれることが分かる。それがほんの少し嬉しかった。
愛―――なんてとっくの昔に忘れたと思ったのに、その感覚はまだ鈍く私の中に残っていた。
少なくともあの時は。
いつもの無表情を張り付けてちょっとはロマンチックなことを言ったりしてくれるのかと思ってたがいつも通りの鉄面皮と淡々とした口調。
しかしそれは私が今まで飲んだ安物のどんなお酒よりおいしく、また都会を見下ろせる夜景が拍車をかけた。
ロマンチックな話になるかと思ったが小鳥遊部長はやはり小鳥遊部長で、会社での口調を一切崩さず、私の仕事に対する情熱は評するが無理をするな、と言ってくれた覚えがある。
その日は何杯飲んだのか分からなかったが、次の日目覚めたら……もうお決まりのコースよね。ベッドで小鳥遊部長と裸で寝ていた状態。それがはじまり。
でも私たちは付き合っているわけではない。「付き合おう」と言われてないし「付き合って」とも言っていない。
体だけの軽い関係。それがちょうどいい。もう二度と苦しい思いをするのはごめんだ。
「小鳥遊ぶちょ……」とキスの合間に問いかけると
「光輝、今だけはそう呼んでよ」とまるで会社にいるときは別人のようにねだるような甘い声。その声が私の腰や首筋を震わす。
「こう……」名前を呼び終わらないうちに私のスカートの間から彼の大きくて温かい掌が私の太ももをなぞる。
「ちょっと…シャワー浴びさせてください」と彼の唇に手をやり遮ると
「待てない」
と、せっかちに言われ、私はお姫様抱っこをされながらベッドに押し倒させる。
何だろう……今日はやけに性急な……
いや、彼は時々こうゆうときがある。嫌なことを発散しているのか、と最初はそう思ったが最近ではそう思わなくなった。
何故なら彼の口づけには愛情が詰まっている気がしたから。
流れ込む。彼の愛情が私の口の中に。小鳥遊部長が私のこと、少なからず”女”として意識していてくれることが分かる。それがほんの少し嬉しかった。
愛―――なんてとっくの昔に忘れたと思ったのに、その感覚はまだ鈍く私の中に残っていた。



