指輪を指から抜き取るとそれを小鳥遊部長の手にそっと置いた。
「私は―――もっと自由になりたい。誰にも縛られない。
誰かの気持ちに縛られて、苦しくて悲しくてもうあんな思い嫌」
これじゃ前に入っていた鳥かごからまた新たな鳥かごに移るだけ。
女は―――女だからこそ下に見られて上に行くことすらできない。だから鳥かごを探すのだ。
でも私はそんなこと望んでいない。例え羽をもがれて飛べなくてもそこに縋りつくのは、勿論今の仕事が好きだから、と言う理由があるけれど、鳥かごの中で飼ってもらうだけのものじゃない。可愛がられるだけの存在ではない。
「僕が裏切るとでも?それとも僕のことが好きじゃない」
小鳥遊部長は心外そうに少し神経質そうな眉を寄せた。
「いいえ、好きよ」またもゆるりと首を振り
「私、自信がない。例え仕事を続けていてもあなたが誰か女の子と話しているのを見ると不安になるし、帰りが遅いと怒るかもしれない。
そんな自分嫌なの。
誰にも縛られず、仕事も生活も全部自由に――――生きたい」
私は風呂から上がってバスローブを身に着けた。
一瞬、小鳥遊部長との未来を想像した。それは私が彼に返事をした内容のものと違った。彼の庇護のもと幸せに笑い合って、彼の笑顔を独り占めして、
けれど
私は自由を選んだ。
仕事に恋に。
恋は―――小鳥遊部長以上の人と出逢えるかどうか不安だけれど、それでも誰にも縛られない
愛に縋るだけのつまらない女にはなりたくない。
女が自由になるにはこの方法しかないと思うと少し寂しい気がするけれど
それでも私は温かい小鳥遊部長の掌から飛び立つことができる。
ここまで育ててくれてありがとう。
私はあなたと言う存在がいたから、ここまでこれた。
けれどその手を振り払ってまで欲しかったもの。
自由だ。
「フラれちゃったな」と小鳥遊部長は前髪をかきあげうっすらほほ笑み、口元に淡い笑みを浮かべる。
「僕は君のことを愛―――…」と言う言葉を私が遮った。バスタブの淵に手をつき、彼の唇にそっと指を当て
私もきっと―――愛してた。
確かに小鳥遊部長はよくみるとかっこよくて背も高く、意外と鍛えてる。連れて歩くには十分ステキな存在。それにあなたといると幸せで、たった二人のこの部屋でくだらないことで笑い合った。大好きな時間だった。
「私、この仕事大好きなんです。我儘でごめんなさい」
仕事を言い訳にするのは卑怯かもしれないけれど、まだまだ小鳥遊部長の下で働きたい。
だって私たちが結婚てなるとどちらかが必ず異動でしょう?
それよりもこうやって毎日彼の顔を眺め、時折会話を交わす。もし彼がまだ望んでいるのならこうゆう関係も悪くない。
我儘でごめんなさい。



