入社以来ずっと胸に秘めている最大の裏目的。それは2年前の、あの日のウィルにもう一度会うこと。
でも新人の身で、人事部に『2年前のファイルを見せてください』なんて言えるはずもない。
だったら、現場を仕切っている鬼島チーフに聞けば……そう思った瞬間、彼と目が合った。鋭い眼光に射抜かれ、喉がカラカラになる。
『なに?』
そう低く問われた気がして、反射的に首を横に振ってしまった。
「い、いえ! なんでもありませんっ!」
情けない笑いでごまかし、結局その場を逃げるしかなかった。
本当は怖い。
でも、鬼島チーフの仕事ぶりは誰よりも認めている。だからこそ、このマジアク課で一人前になって、いつか正面から胸を張って話せるようになりたい。
そう思うのに、失敗するたびに『また認められてないな』と感じてしまう自分がいる。
怖いけど、諦められない。この課で頑張りながら、必ずあの日のウィルを見つけ出すんだ。
その日の夕方、KARの備品チェックをしていると、背後から低い声が落ちてきた。
「おい、カメ子。書類、逆だ」
振り返った瞬間、至近距離に立つ鬼島チーフの影が覆いかぶさる。ライトに照らされた彫りの深い横顔と、ほんの一瞬だけ私を射抜くように見た鋭い目に、背筋がゾクリとした。
こ、怖い。
だけど、その低い声が胸の奥まで響いてくる感覚を、どうしても無視できない。
慌てて書類を持ち替え、頭を下げる。
「す、すみませんっ」
チーフは短く『次は間違えるな』とだけ言い、踵を返して去っていった。その背中から、雨上がりの森のような、あの日と同じやさしい香りがふわりと残る。
その香りを胸いっぱいに吸い込んだ瞬間、鼓動がひときわ強く跳ねた。
やっぱり、似ている。あの日の、あの人に。
でも新人の身で、人事部に『2年前のファイルを見せてください』なんて言えるはずもない。
だったら、現場を仕切っている鬼島チーフに聞けば……そう思った瞬間、彼と目が合った。鋭い眼光に射抜かれ、喉がカラカラになる。
『なに?』
そう低く問われた気がして、反射的に首を横に振ってしまった。
「い、いえ! なんでもありませんっ!」
情けない笑いでごまかし、結局その場を逃げるしかなかった。
本当は怖い。
でも、鬼島チーフの仕事ぶりは誰よりも認めている。だからこそ、このマジアク課で一人前になって、いつか正面から胸を張って話せるようになりたい。
そう思うのに、失敗するたびに『また認められてないな』と感じてしまう自分がいる。
怖いけど、諦められない。この課で頑張りながら、必ずあの日のウィルを見つけ出すんだ。
その日の夕方、KARの備品チェックをしていると、背後から低い声が落ちてきた。
「おい、カメ子。書類、逆だ」
振り返った瞬間、至近距離に立つ鬼島チーフの影が覆いかぶさる。ライトに照らされた彫りの深い横顔と、ほんの一瞬だけ私を射抜くように見た鋭い目に、背筋がゾクリとした。
こ、怖い。
だけど、その低い声が胸の奥まで響いてくる感覚を、どうしても無視できない。
慌てて書類を持ち替え、頭を下げる。
「す、すみませんっ」
チーフは短く『次は間違えるな』とだけ言い、踵を返して去っていった。その背中から、雨上がりの森のような、あの日と同じやさしい香りがふわりと残る。
その香りを胸いっぱいに吸い込んだ瞬間、鼓動がひときわ強く跳ねた。
やっぱり、似ている。あの日の、あの人に。



