ドジっ子令嬢は着ぐるみうさぎに恋をする

霧島――いや、今は完全に菩薩モードのチーフが、私を優しくエスコートしながらロビーを横切る。するとサッと他のアテンドスタッフさんたちが周りを囲んでくれた。

えっ、なにこの雰囲気。まるで私が有名人扱いされてるみたいなんですけど!?

会場はKAR隣の特設コーナー。ベンチにはすでにラーラが腰掛け、にこやかに子どもたちへ手を振っている。その横にロボットみたいにぎこちないウィル=私が登場。

場が一瞬、シーーン……と静まる。
ど、どうしよう! 
とりあえず、手を振っとけ!

必死に元気いっぱいの動きを意識してみると、子どもたちの目が少しずつ和らいでいく。

……ホッ。

そう思ったのも束の間。ウィルやラーラの大きさにびっくりして泣き出す子が続出!
『せっかくだから一枚だけ!』と撮りたい親 VS 『いや無理!』と抵抗する子。
小さなバトルが、目の前で何度も繰り広げられる。

アテンドさんが笑顔で親御さんをなだめ、なんとか次の子へ。でも中には逆パターンもいて、興奮しすぎてベンチで飛び跳ねる子、抱きついたまま離してくれない子。

いや可愛いけど、着ぐるみ内は酸欠との戦いなんですよ!?

それでも、『ありがとう』『大好き』と言ってくれる声が届くたび、胸の奥がじんわり温かくなる。

ああ、やっぱりピーターズファミリーって子どもたちのアイドルなんだ。
代役でもいい、この瞬間を守れてよかった。

残り、あと数人。
体力は限界に近いのに、不思議と心だけは折れない。ただ一つ、首元に妙な違和感が。

え、まさか!
いやいや、そんなフラグ立てないで、私!

鬼島チーフの視線が遠くからずっと刺さってる気がして、さらにドキドキ。
『おまえ、首ちゃんとついてんのか?』
そんな声が聞こえてきそうで、背筋が
ゾワッとした。