どうにか、ショーは終わった。
無事にとは言えないけれど、それでも何とか。
観客が去ったあと、キャスト全員がKARに集合。胸の奥にイヤな予感が走る。雷コース確定かと思いきや、現れたのは社長ご本人だった。
「今日はありがとう。とても良いショーだったよ」
その一言で空気が一気に和らぐ。社長はひとりひとりに労いをかけ、場は雑談で和やかに。憧れのCool Beauty社長・圭衣ちゃまの登場に、女子大生キャストたちの目は輝いていた。
私は隅に腰を下ろし、ようやく胸を撫で下ろした瞬間、隣に社長が座る。慌てて立ち上がろうとすると、軽く手で制された。
「座っていていいよ」
気まずくなり、思わず口を開く。
「さ、先ほどはお見苦しいところをお見せして、申し訳ありませんでした」
社長はふんわり笑って言った。
「君は、会場の人たちをちゃんと見ていたかい? 子どもたちの目は輝いていた。大人たちも笑っていた。私はね、理想が形になったと思ったんだ」
胸が熱くなる。ドジな私でも、誰かを笑顔にできたんだ。
けれど、次の言葉に凍りついた。
「そうか、君が仁君の娘さんだったのか」
な、なんで……!? 本名は伏せてきたのに。
社長は落ち着いた声で続けた。
ホテル業界に新会社を立ち上げた時、九条家が無償で協力してくれたこと。父・仁や“慶智の王子たち”も深く関わっていたこと。
そして、私が内定をもらった頃、食事をした席で父から直接、私の存在を聞いたこと。
パパ、なんで余計なことを!
やっと“九条”の名に縛られずにいけると思っていたのに。
胸がギュッと痛む私に、社長は優しく微笑んだ。
「うちにも、赤坂の姓を名乗りたくない息子がいてね。君の気持ちも少し分かるよ」
そして最後に。
「このことは誰にも話さない。人事部にも、君がCool Beauty社長の姪だということもね。私の胸にしまっておこう」
その言葉に、不意に鬼島チーフの顔が浮かぶ。別に彼が知っているわけじゃないのに、“胸にしまう”という響きが妙に心をざわつかせた。
無事にとは言えないけれど、それでも何とか。
観客が去ったあと、キャスト全員がKARに集合。胸の奥にイヤな予感が走る。雷コース確定かと思いきや、現れたのは社長ご本人だった。
「今日はありがとう。とても良いショーだったよ」
その一言で空気が一気に和らぐ。社長はひとりひとりに労いをかけ、場は雑談で和やかに。憧れのCool Beauty社長・圭衣ちゃまの登場に、女子大生キャストたちの目は輝いていた。
私は隅に腰を下ろし、ようやく胸を撫で下ろした瞬間、隣に社長が座る。慌てて立ち上がろうとすると、軽く手で制された。
「座っていていいよ」
気まずくなり、思わず口を開く。
「さ、先ほどはお見苦しいところをお見せして、申し訳ありませんでした」
社長はふんわり笑って言った。
「君は、会場の人たちをちゃんと見ていたかい? 子どもたちの目は輝いていた。大人たちも笑っていた。私はね、理想が形になったと思ったんだ」
胸が熱くなる。ドジな私でも、誰かを笑顔にできたんだ。
けれど、次の言葉に凍りついた。
「そうか、君が仁君の娘さんだったのか」
な、なんで……!? 本名は伏せてきたのに。
社長は落ち着いた声で続けた。
ホテル業界に新会社を立ち上げた時、九条家が無償で協力してくれたこと。父・仁や“慶智の王子たち”も深く関わっていたこと。
そして、私が内定をもらった頃、食事をした席で父から直接、私の存在を聞いたこと。
パパ、なんで余計なことを!
やっと“九条”の名に縛られずにいけると思っていたのに。
胸がギュッと痛む私に、社長は優しく微笑んだ。
「うちにも、赤坂の姓を名乗りたくない息子がいてね。君の気持ちも少し分かるよ」
そして最後に。
「このことは誰にも話さない。人事部にも、君がCool Beauty社長の姪だということもね。私の胸にしまっておこう」
その言葉に、不意に鬼島チーフの顔が浮かぶ。別に彼が知っているわけじゃないのに、“胸にしまう”という響きが妙に心をざわつかせた。



