ドジっ子令嬢は着ぐるみうさぎに恋をする

ついに11月最初の土曜日がやってきた。
私が出演するのは、この日のラストショー。19時からの回だ。子どもたちは遊び疲れていると思いきや、会場はすでに満員。家族連れで大賑わいだった。

袖から客席を覗くと、後方中央に圭衣ちゃまと大和おじちゃまの姿。

嬉しい! 本当に来てくれたんだ。

さらに右にはマジアク課の先輩たち。
そして視線を左に動かすと……ゲッ、鬼島チーフの姿。しかも圭衣ちゃまたちが、なぜかチーフと一緒にいる大人たちと挨拶を交わしている。誰なのか分からないけど、胸の鼓動が急に速くなった。

大丈夫、私は“できる子”ちゃん。練習だって重ねてきたし、今日は絶対に笑顔を届けるんだ。もちろん鬼島チーフにも!

必死に深呼吸を繰り返すうちに、ショーが始まった。音楽に合わせてピーターズファミリーが登場し、観客席はすぐに手拍子の渦。
私たちバックダンサーも紹介され、『チビチビちなりお姉さん』として舞台へ。

小道具を渡したり子どもたちを誘導したり、役割はシンプルだけど、やっぱり緊張する。
それでもお姉さんたちが小声で『いい感じ!』と励ましてくれて、少しずつ心が落ち着いた。

やがてフィナーレ。
キャラクターもダンサーも勢ぞろいし、会場全体が明るい曲に包まれる。子どもたちの瞳は星みたいにキラキラ輝いて。

その中で、なぜか鬼島チーフの視線だけが鮮烈に焼き付いた。

胸の鼓動が、ひときわ大きく跳ねる。