「……すごい雨」
大雨が振り雷が鳴り響く。
まだ午後7時だと言うのに……
そう思いながら薄暗い外を見ながらスマホを弄る。


……
相変わらずメッセージが送られてきた形跡のないホーム画面をジッと見つめていると


ミャァーォ


、?どこからか猫の声が聞こえたような


ふと外に目線を移すと黒猫が外からこちらを覗いていた。


!「クロ、!」


1年前、私の家の近くで彷徨いていた黒い毛並みの猫。
家の事情により、買うことは出来なかったがクロと名ずけ、来る度に餌をやることは度々あった。


だがクロはこんな大雨の日に来ることなどない
……一体どうして、


そう思いながらも庭に繋がったガラスのドアを開けてクロを腕の中に引き寄せる。


「……冷たい」
長時間外にいたのだろうか……
黒く小さな体は冷えきっており、冷たい。もう少し早く気づけばよかったと悔やみぎゅっとクロを抱きしめる。


ミャァー


小さな声でクロが鳴く。
「ごめんね、つめたかったよね」
急いでタオルを取りに行こうとクロを抱いたまま浴室に向かおうとすると再びクロが鳴く。


ミャァーォ


まるで、なにかを伝えようとするかのように


「クロ?」


そう言うと、クロは腕から降りスタッと着地すると、私をどこかに連れていきたいかのように


ミャァーォ


と、鳴き入ってきたドアから外に出ていく。


「クロ、!?どうしたの、?」


外は大雨な為、開けるのを躊躇ったが玄関のドアを開け外に出る。するとクロは私を案内するかのように大雨の中を歩き出す。


ハッとした私も傘をさし急いでクロを追いかけた。
クロを追いかけ行き着いた先は近くのゴミ捨て場。


いつも通りのゴミ捨て場のはずなのにそこには男の子が仰向けに倒れ込んでいた。


「!?だい、じょうぶですか、!」


腹から絞り出したような声をだし、男の子に近づく。
ワイシャツなどを見て一目で学生だとわかる格好。


ワイシャツが捲られた腕などを見ると所々痣や傷だらけで痛々しい。
大雨の中外にいた為か服に血が滲んでいる。


声をかけるが気絶しているのか起き上がらない。


「っ、!きゅ、きゅうしゃっ、!」


不安になった私はスマホを取り出し救急車に連絡を取ろうとした……だが


スマホを持っているはずの腕を、起きているはずのない彼に掴まれていた。


「!気、がついて」


「……呼ばなくていい、」


小さな声でボソッと彼はそういうと再び意識を落としたようにゴミ捨て場に倒れ込む


「……え、」