……着いた!
10分ほど歩いて着いた星彩学園。
「わあー……」
前にも見たけど、とっても豪華だ!!
見た目はめちゃくちゃお城みたいなところで、門もとてつもなく大きい……。
くぐるのがなんだか気が引ける。
行こうか行かまいかぐぬぬと迷っていたとき、後ろから目を隠された。
「わわっ!」
「ふふっ、だーれだ!」
「もう、茉音だよね!」
「せいかーい!おはよ、ツム!」
「おはよ、茉音」
笑って手を離した人物は、香坂 茉音(こうさか まお)、私の同級生。
親同士も仲良しで、姉妹のように育てられてきた。
茉音はみんなのお姉さん的存在で、周りからいつも相談されていた。
私も星彩学園に行きたいことを茉音に相談した。
行く決心はついてたけど、周りの友だちが誰も星彩に行く子がいなくって、不安だったんだ。
すると、『私も行くよ!』って、一緒についてきてくれたんだ。
友だちのために、喜んだり泣いてくれてりする茉音。
そんな茉音が、私は大好きだ。
「……で、ツムちゃんはなにを迷っていたんですかねえ〜」
私のほっぺをつつきながらニヤニヤしてくる茉音。
「うう……校舎が大っきくて、入りずらいんだよ!」
「あ〜。確かによく見てみると、すっごい大きいね〜」
「『あ〜』、じゃない!なんでそんなに平然としていられるの?」
「ん〜、星彩(ここ)より大きい建物見たことあるからかな〜?」
「それなら、私だってあるよ!」
「じゃあなんで驚くの?」
「だってここ学校だもん!ヤバくない!?」
「あーあ、ツムのおおげさ劇場が始まっちゃったよ〜」
「なにそれ!」
意味がわからない言葉を発してきた茉音。
『おおげさ劇場』ってなに!?
むう、と口をふくらませる私。
そしたら、茉音は私のほっぺをみょーんと伸ばす。
「ほっひょ(ちょっと)!ひゃひふふほ(なにするの)!」
「まあまあ、そう焦んないで。お姉さんと行きましょうね〜」
「はへっへはい(あせってない)!はおはほへーはんははい(まおはおねえさんじゃない)!」
「何言ってるのかわかりませーん」
「ははにひはいへ(ばかにしないで)!」
完全に面白がってるよね!?茉音さん!?
しばらく私のほっぺで遊んで、ようやく手を離してくれた。
ほっぺが落っこちそうだよ……違う意味で。
「ほら、行こ!」
手を差し伸べてくる茉音。
「はーい」
その手をとった私。
今日から中学校生活の始まり。
思いっきり楽しむぞー!


