響け、希望と愛の鐘

マンハッタンの小さなオフィス。
 「Women Reclaim Safety」の看板が掲げられた。

 窓からエンパイア・ステート・ビルディングが見え、街の鼓動が響く。

日本とはまた違う、行き交う人々の活気に、優美は圧倒された。

 優美はNPOのアメリカ支部を立ち上げ、初デモの準備に没頭していた。

 ドアがノックされ、現地の活動家ジェシカが顔を出した。

「Yumi, your Tokyo demo inspired us!
 We’re ready to shake New York!」

「Thanks, Jessica.
 Let’s make it happen!」

優美は力強く頷いた。

 ハギくんはロースクールの授業の合間にオフィスに現れ、法務書類を手に笑う。

 「先輩、申請書、完璧!
 
俺、国際法を完璧に勉強して、NPO、世界一にするよ!」

「ハギくん、いつもありがとう。
……貴方がそばにいてくれると、ほんと安心する」

優美の言葉に、ハギくんがポケットから小さなベルベットの箱を取り出し、そっと握る。

 「優美。
 ニューヨークで、ずっと一緒にいたい。
 ……これ、近いうち、ちゃんとした時に渡したい」

優美の心臓が跳ね、頬が熱くなる。

 「ハギくん……!

 急にそんなこと言うの、反則だよ」

2人の視線が絡まり、事務所に甘い空気が流れた。