響け、希望と愛の鐘

優美は仲間たちを見渡し、胸が熱くなった。

 「皆、ありがとう!

 アメリカで、みんなの声、届けるよ」

「優美!」

 走って転びそうになりながら、私を抱きしめたのは、母だった。

急いで来たのか、いつものスーツではなく、
 白のロゴTシャツにジーンズだ。

「行っちゃうのね、優美」

「どこにいても、誕生石のエメラルドが貴女を守ってくれるわ。
 頑張りなさい。

 何かあったら、駆けつけられるようにするわ」

「走るなと言っただろう、ハナ。
 いくつになっても危なっかしいんだからな。

 優美。
 アメリカでもしっかりな。

 1人で頑張りすぎるのは、優美の悪い癖だ。

 ハナも俺も、その癖は今も抜けないんだ。
 俺たち2人の悪い部分を継いでしまったな。

 少しは、遠慮せず、周りの人に話すといい。
 きっと、いいアイデアをくれるよ」

 父親の優作が、優美の頭を優しく撫でた。

 頭を下げるハギくんに、私の両親が近づいて二言三言、言葉を交わした。

 搭乗のアナウンスが響いた。

 優美は、ハギくんの手をしっかりと握り、ゲートへ向かった。