響け、希望と愛の鐘

東京の羽田空港は、朝の柔らかな光に包まれていた。
 
優美はペールピンクのスーツケースを引いて、出発ロビーに立っている。

 オレンジのスキッパーブラウスにベージュのマーメイドスカート。
 母からもらったエメラルドのピアス。

 隣にはハギくんが、リュックを背負い、優しい笑顔でいる。

 優美の「女性スペースを取り戻す会」は全国デモの成功で世界的な注目を集め、アメリカの活動家からの招待を受けた。

 ニューヨークでの初デモも計画している。

 ハギくんはロースクール進学を控え、NPOの法務を支えるため、二人で旅立つ。

優美のスマホには、#WomenReclaimSafetyの投稿が溢れる。

『優美さん、アメリカで輝いて!』

『安全な未来、世界にも! 』

 佐藤健太の逮捕と『自由空間の会』の摘発から3ヶ月が経っていた。

 トラウマの影は薄れ、優美の心には新たな挑戦への期待が膨らむ。