響け、希望と愛の鐘

 「私、トラウマ、ちゃんと向き合ってみる。

 カウンセリング、始めるよ」

優美はハギくんの手を握り、笑った。

「いろいろありがとう。
 ハギくん。
 そういえば、アガパンサスの花言葉の栞への返事、してなかったね。

 遅くなって、ごめん」

 優美は、くい、とハギくんの腕を引くと、
 彼の頬に啄むようなキスをした。

 「あの告白の返事なら、こっちがいいんですけどね」

 軽く、矢萩は優美の唇に、軽く自らのそれを重ねた。

「今は、これくらいにしておきますね。

 まだ、こういう事を何度もすると、トラウマを思い出させちゃいますからね。
 優美の心の傷が癒えるまで、キスより先は、我慢しますよ」

「優しいね、ハギくん。

 もう恋人なんだから、敬語止めてって。

っていっても、なかなか難しいよね」

「分かった。
 
そろそろ行こう。
 
帰り、遅くなっちゃうといけない」

2人は夜景を見ながら歩き、優美の心に、トラウマを克服する決意が芽生えた。