響け、希望と愛の鐘

デモの準備まで、あと3日と迫ったある日。

 優美はデスクで、スピーチ原稿を推敲していた。

 ネイビーのブラウスに、ライトグリーンのシアースカート。
 耳には誕生石のエメラルドピアス。

 佐藤健太の監禁から救出されて1週間が経っていた。

 優美の心にはトラウマの影が残るが、仲間たちの支えが彼女を支えていた。

「優美先輩!

 デモの警備計画、警察と最終確認したっす!
 
麗眞さんも、元刑事の人脈使って警察の警備、当初の3倍に増やしてくれるって。

 ちょっとだけ、息抜きしません?
 優美先輩」

「息抜き?

 今、忙しいんだけど」

 今は、デモのスピーチ原稿を遂行しなくてはならないのだ。

優美は眉をひそめるが、矢萩の言葉に真剣な目に心が揺れる。
 監禁以来、優美は休むことなくデモ準備に没頭していた。