響け、希望と愛の鐘

「矢萩、ほんと助かる。

 でも、資金、どうしよう。

 クラウドファンディング、目標額に届かないよ」

優美は予算を書き記したノートを見て頭を抱える。

「何か悩んでそうだね。
 困ってるなら力になるよ。
 
何でも言って」

 NPO設立の資金が足りないことを話すと、金額を全て賄う、と言ってくれた。

 「スポンサーは、宝月財閥がなるよ。

 それだけで、信用爆上がりだからな。

 そうそう。
 
俺の親友で精神科医の深月(みづき)ちゃんと、
 臨床心理士の道明(みちあき)に協力してもらって、カウンセラーを集めているよ。

優美ちゃん、このカウンセリングプログラム、NPOの目玉になるぜ。

さっきのライブ配信にも、こんなことがあった、という悲痛な声が、たくさん届いていたよね。

そういう被害者の声を、もっと大きくしよう!」

優美は笑い、仲間たちの熱意に心が温まった。

 「皆がいつも応援してくれるから、
 心が折れないでいられる。

 NPO、絶対作るよ」

窓の外には、東京の夜景が広がる。

 自由空間の会の残党は気がかりではあった。

 だが、優美の心は、前を向いていた。

 全国デモは、すぐそこだ。