響け、希望と愛の鐘

麗眞さんがドアをノックして、事務所の扉が開いた。

麗眞がブラウスの袖をまくり、笑う。

 「優美ちゃん。

 警備員、倍にしたよ。
 
自由空間の会の残党、絶対近づけさせない。

 宝月財閥、甘く見てもらっちゃ困るね」

優美は頷き、胸の不安を抑えた。

 「みんな……
 感謝してもしきれない」


デモ準備と並行して、
優美は「女性スペースを取り戻す会」をNPOとして設立する手続きを進めていた。

 ハギくんが法務書類を手に、説明する。

「先輩、NPOの申請、めっちゃ時間がかかるっす。

 登記とか、資金計画とか、全部チェック必要。

 でも、俺、弁護士としてガッツリサポートするよ!

 優美先輩の役に立ちたくて、弁護士資格とったんです!
 役に立てて良かったですよ。

 まぁ、自分の親父と、優美先輩の母親の華恵さんに憧れたから、っていうのも、あるんですけどね。

 この間、華恵さんに法廷で会って。
 優美をよろしく、って言われて、背中をポン、と叩いてくださって。

 憧れの人に会えて、嬉しかったです! 」

 そう言われると、悪い気はしない。