響け、希望と愛の鐘

「優美先輩!
 全国デモの許可申請、全部通ったっす!

 300人以上、集まるっぽい!

 あと、自由空間の会のリーダーの調査、警察とガッツリ進めてますよ!
 
相沢さんも矢吹さんも、相沢さんの奥さんの美崎さんまで、協力してくれてます」

「相変わらずだね。

 今日の手土産はいちごサンドイッチと、ロールケーキなのね。
 
ひと段落したら、皆で食べようかしら。

ノックくらいはしてほしいけど……
 ありがとう」

その時、優華が事務所に現れた。

 ラベンダーのブラウスに、ベージュのマーメイドスカート。
 
黒いショルダーバッグに、黒いスニーカー。
 
いつも被っているベージュの帽子だ。

「姉ちゃん、めっちゃ気合い入ってるじゃん!

 佐藤のやつ、逮捕されてスッキリしたね!」

「でも、優華、ほんと助かった。

 間一髪だったからね……」

優美の声が小さくなる。

 監禁の恐怖――佐藤のナイフ、トラウマのフラッシュバック――が蘇る。

 優華が肩を叩く。

「辛気臭い顔するなよ、姉ちゃん!

 全国デモ、姉ちゃんの声、絶対届けるよ!」

優美は笑い、胸の温かさを感じた。

 姉妹の絆が、彼女の心を支えていた。