響け、希望と愛の鐘

「まぁ、お母さんが姉ちゃんにあげたピアスに小さな盗音機が仕込んであったから、姉ちゃんを見つけられた、って言うのが真相なんだけどね」

「大学生のときから、いつも言っていたでしょう?
 
肌身離さず、ピアスは付けていなさい、って。

 マイクロチップくらい小さな、
 発信機、GPS、盗聴器。
 
それに高性能ビデオ録画機能。
 
悪用したらヤバい機能が付いた機械をピアスに仕込んでいたのよ。

優美、私の目の届かないところにいるんだもの。
 
母親として、助けにならないとね!」

「ありがと、お母さん……」

 また、優美の瞳からは涙が零れ落ちた。

 母の華恵は、優美を抱き寄せて背中を何度も撫でた。

「すまなかったな。
 
いくら検察官で単身赴任とはいえ、
 優美と優華のことは母親のハナに任せっぱなしだった。

 今からでも、私に出来ることがあれば何でも言ってくれ」

 父親の優作は、頭を地面に擦り付けんばかりに謝罪している。

「んー、今は思いつかないや。

 お父さんがそう言うなら、何かあったときは言うね!

 あ、でも、佐藤の奴を有罪にしてくれれば、それでいいや」

「私は、お姉ちゃんのピアスじゃないけど、何か考えてもらおうかな」

「優華も心配だからな、何か考えておくよ」

「お、楽しみにしてる!
 私の趣味に合うもの、よろしくね!」

 
 家族との温かい時間を過ごしたおかげで、優美の心にあったトラウマの影が薄れ始めた。