響け、希望と愛の鐘

 母の言葉に、姉妹で首を振った。

「怖かったけど、会いに来てくれただけで嬉しい。

 ありがとう、お父さん、お母さん」

母、華恵が優美を抱きしめると、優美は彼女の胸で子供のように泣いた。

 「姉ちゃん、ほんとバカ。

 怖かったなら、もっと頼れよ。

 私、姉ちゃんのこと、めっちゃ大事なんだから」

「優華が羨ましかったんだ。
 
 優華は私と違って誰とでも仲良くなれるし、
 男友達も多かったし。
 お母さんが持っていた能力を受け継いでる。

私はそうじゃないし。

優華みたいに、なりたかった」

 
優華は目を丸くし、微笑んだ。

 「私、昔、姉ちゃんに嫉妬してた。

 姉ちゃんのやると決めたらやりとげる信念の強さが羨ましくて。

 決めたデモは、怖くてもやりきっちゃったものね。

 姉ちゃんの信念、めっちゃ強いよ。

 姉ちゃんを守るために私の残り少ない魔力で、上手く能力を発揮できてよかったよ。

 もう、そろそろ使えなくなるかもしれないからね。

ある程度の年齢になると、特殊能力は弱くなって使えなくなるのよ。
 
次の世代に、特殊能力を遺伝させないために。

あと1回が限度かな、って感じ。

 まぁ、私は姉ちゃんみたいに恋人いないけどね!」

優美の目に涙が滲む。

 「優華……ありがとう」

優華が優美を抱きしめる。

 涙を拭わないまま、優美は、優華の手を握った。