響け、希望と愛の鐘

優美の身体は、まだ小刻みに震えていたが、
ハギくんがそっと優美の手を握ってくれた。

「落ち着くまで、優美先輩のそばにいますよ」

警察署の取調室の外で、優美はベンチに座っていた。

 グレーのブラウスは汚れ、デニムのスカートはところどころ破れていた。

 母からもらった誕生石のピアスだけが、薄暗い廊下で光る。

麗眞と彼の執事、相沢がそっと近づいてきた。

よほど急いで来たのか、麗眞さんは黒のポロシャツにチノパンだった。

「優美ちゃん、よく耐えたな。
 
間に合ってよかった。
 
優美ちゃん、そのピアスをずっと着けてくれてたおかけだよ。
 
監禁場所が分かったの」

 ピアス?
 何のこと?
 
優美は、何度も首をかしげた。

「ここではなんですから、お話は宝月の屋敷ではいかがでしょうか。
 
どうぞ、車までご案内します」