響け、希望と愛の鐘

雇われた1人の男が優美の華奢な肩を掴み、壁に押し付ける。

「痛いじゃないのよ!

女性には優しくするもんだ、って学校で教わらなかったわけ?」

先程、事務所で薬品を口に当てて眠らせた男だ。

「調子に乗りやがって。

逃げられると思うな」

男の声に、優美の心が凍りつく。


トラウマが再び蘇り、力が抜ける。


佐藤が優美に近づき、ナイフを握り直す。

 「助けを待っている顔だな。

誰も来ないよ。
 
ここは、俺たちしか知らない場所だからな」

佐藤の目が、優美の全身を舐めるように見る。

「良いカラダしてるよな。
 
お前も、お前の妹も。

身体のラインを拾わない服でも、
そこそこ胸画面デカイの、分かるもんなぁ。

 情報番組のコメンテーターをやっているお前の母親も、いいプロポーションしてるしなぁ。

 ここでお前を強姦して、その様子をライブ配信するのもいいなぁ。

 全世界の野郎共のオカズになるんだ。

 可愛く鳴けよ?」


 ……嫌だ。

よりにもよって、こんな男に。

私がそばにいて、触れられて安心するのは……!

『守りますから、優美先輩』

ハギくんの顔と声が、優美の脳裏に浮かんだ。

 助けて!

優美の着ているグレーのブラウスのボタンに手がかかった、その時だった。