響け、希望と愛の鐘

目が覚めると、優美は冷たいコンクリートの床に座らされていた。

 手足はロープで縛られている。

 薄暗い倉庫の天井には、錆びた鉄骨が剥き出しだ。

 壁には「自由空間の会」のロゴがスプレーで描かれ、

床には優美のデモチラシが散らばっている。

 目の前に立つ佐藤が、フードを外して顔を見せる。

「ようやく起きたか、御劔」

佐藤の声は、憎しみに震えていた。

背後では、雇われた男のうちの1人がノートパソコンを操作している。

もう1人は、ずっと倉庫の入り口を見張っているようだ。

チラリと見えた画面では、

「#WomenReclaimSafety」に誹謗中傷コメントが書き込まれていた。

『偽善者』
『金儲けのデモ』との投稿が、優美の運動を汚す。