響け、希望と愛の鐘

優美はデスクで、スピーチ原稿を推敲していた。

 「私たちは一人じゃない。安全は私たちの権利」。

大阪と福岡デモを行う前日。

 相沢さんから、宝月の屋敷でデモ活動の準備を行うことを提案された。

これ以上は、優華やハギくんも、何かしらの危害を加えられる懸念がある、と言う話をしてくれた。

その話には、納得がいった。

 優華は、19歳なのだ。
 私が守らなければいけない。

 相沢さんに、明日話してみよう。
 明日の夜から、宝月の屋敷で活動しよう。


 そう思っていた時だった。

 突然、事務所の電気がパチンと消えた。

 暗闇の中、ドアの向こうでガサガサと物音がする。

 優美の心臓が跳ね上がる。

「誰!?」

返事はない。