響け、希望と愛の鐘

数日後、優美は福岡へ向かった。

 博多駅の喧騒を抜け、地元の公民館でボランティアと会議を開く。

 リーダーの(ひとみ)さん。
 40代の元介護士だ。

 彼女は職場のセクハラ被害をきっかけに、優美の運動に参加した。

 「優美さん、福岡の女性、待ってるよ」と笑う。

福岡のデモは、50人規模だが熱気に満ちていた。

 優美は公園のステージでスピーチし、瞳や若い学生たちがプラカードを掲げる。

 「安全は私たちの権利!」の声が響き、SNSでライブ配信が拡散される。

 だが、デモ中に新たな異変が起きた。優美のアカウントから、また偽の投稿。

『デモは金儲けのため』

 『優美は偽善者』

 観衆がざわつき、優美はすぐさま配信で否定する。

「これはハッキングです!
 私たちの運動は、本物です!」

瞳さんがマイクを奪い、叫ぶ。

「優美さんを信じる!

 私たちの声、絶対に潰させない!


安全は、私たちの権利!」

 観衆の拍手が戻り、優美は涙をこらえた。

 瞳の強さに、彼女は新たな絆を感じた。