響け、希望と愛の鐘

デモ当日、梅田の公園は100人以上の参加者で埋め尽くされていた。

 ピンクと緑のプラカードが風に揺れる。
「#WomenReclaimSafety」のハッシュタグが書かれたTシャツを着た、大勢の若者たちが声を上げる。

 優美は仮設ステージに立ち、マイクを握った。

「私たちは、怖くても逃げなかった。
 
痴漢、ストーカー、恐怖を乗り越えて、ここにいる。

 大阪から、安全な未来を作ろう!」

参加者の拍手が響き、SNSでライブ配信が始まる。

 香代が隣で涙を拭きながらプラカードを高く掲げる。

だが、デモの後方では、反対派のグループが現れた。

 「自由空間の会」のロゴが入ったプラカードを持ち、「ジェンダーフリーを!」と叫ぶ。

 優美は冷静にマイクを握り直す。

「私たちは、誰も排除しない。
 安全なスペースは、すべての人の権利です」

観衆の拍手が反対派の声を掻き消す。

 だが、優美のスマホに新たなメッセージ。

『お前のスピーチ、笑えるな。
 今夜、仕返しだ』

 佐藤の文面だと確信し、優美の心臓が締め付けられた。