響け、希望と愛の鐘

大阪の朝は、東京とは異なる喧騒に満ちていた。

 梅田駅の雑踏を抜け、

 優美は小さな会議室に向かっていた。

 白いブラウスにデニムスカート。

 母からもらった誕生石のピアスが揺れる。

 彼女のバッグには、「女性スペースを取り戻す会」のピンクのチラシが詰まっている。

 今日は大阪での初の地方デモ。
 
全国規模の運動を広げる第一歩だ。

事務所での佐藤健太の脅迫。

 窓ガラスを割る懐中電灯。

 ドアに貼られた写真。

 それらの光景が、目に焼き付いて離れない。

 優美の心に重くのしかかる。

 ボランティアの奈穂やハギくん、妹の優華の支えが、彼女を前に進ませていた。

 スマホには「#WomenReclaimSafety」の投稿が溢れ、賛同者の声が励みになる。

『優美さん、大阪でも応援してます!』

『全ての女性に安全な未来を!』

 しかし、匿名アカウントからの脅迫も止まない。

『大阪でも見てるぞ』
『やめろ、偽善者』