響け、希望と愛の鐘

翌日。

 事務所では、デモの準備が進んでいた。

 ボランティアの奈穂が、ピンクの横断幕を広げ、デザインを調整する。

 優美はスピーチ原稿を読み直し、彼女に意見を求めた。

「ねぇ奈穂。

 このフレーズ、どう思う?

 『私たちは一人じゃない。安全は私たちの権利』」

「めっちゃいいです!
 優美さんの言葉、いつも心に響くんです」

奈穂の笑顔に、優美は勇気をもらった。

 だが、スマホに新たなメッセージ。

『今夜、お前の家に来る』

 優美の手が震え、顔が青ざめる。

 「優美さん、どうしたんです?
 体調悪いなら、少し休んだほうが」

「なんでもない。

 ちょっと、疲れただけよ。
 気にしないでいいわ」