響け、希望と愛の鐘

ドアが開き、矢萩 裕貴が飛び込んでくる。


「優美先輩!

 警察に昨夜の映像、提出しましたよ!

 佐藤ってやつ、特定できそう!

 あと、全国デモの許可申請の方も、俺、ガッツリ進めてますよ!」

「まったく。
 矢萩ったら。


 ノックしてよ。

 映像、ほんとに役立つかな?」

優美の声には、希望と不安が混じる。

彼は真剣な目で言う。


 「優美先輩、絶対捕まえるっす。

 弁護士の意地にかけて!」

その時、優華が事務所に現れた。

水色のブラウスにネイビーのタイトスカート、彼女のお気に入りのベージュのキャップを被り、自信たっぷりの笑顔だ。

「姉ちゃん、めっちゃ頑張ってるじゃん!

 でも、ストーカー、ほんとヤバいよ。

 もう!
 何とかして、私の能力で、ぶっ飛ばしたい!」

「まったく。
 そろそろ魔力、顕著に減る年頃でしょうが、優華。

 それに、優華は人を傷つける魔力の使い方は出来ないでしょうが。

 でも、泊まりに来てくれて、助かったよ。

ありがとうね」

優美は笑いながら応じた。

優華の明るさに、胸の重さが少し軽くなる。