響け、希望と愛の鐘

ハギくんは目を丸くし、すぐに真剣な顔になる。

 「優美先輩、それマジでヤバいっす。

 俺、今日から、優美先輩の家まで送りますよ。

 あ、送り狼にはならないですからね!

優美先輩を守る、騎士になります!」

「ふふ、ありがと」

優美は小さく笑った。

 
彼の誠実な言葉が、
優美の凍りついた心を少し溶かしてくれているようだった。


夕方、優華が事務所に現れた。

 彼女は黒字に白のドットブラウスにデニムジャケット、アイボリーのテーパードパンツに黒のスニーカー。

 ベージュのキャップを被って、自信たっぷりの笑顔で入ってくる。

「姉ちゃん、めっちゃやつれてるじゃん!

 ストーカー、ほんとヤバいって!

 私の魔力も使って、そいつぶっ飛ばしてやる!」

「優華は魔力、あるんだもんね。
 私には無いのに。

 でも、ありがとうね、優華」

優華の軽口に、優美は笑いながら応じた。

「姉ちゃん、昔から頑固だよね。
 
やると決めたら絶対にやり抜く。

私、姉ちゃんのそういうとこ、実は尊敬してるんだ」

優華の言葉に、優美は目を丸くした。

 「どうしたのよ、急に」

「ほんとだよ。

 姉ちゃん、トラウマあってもデモやってるじゃん。

 私、自分で【無理だ】って判断したことは、
 自分で早々と諦めちゃうからさ。

 姉ちゃんの信念、めっちゃカッコいいよ」

優華の素直な言葉に、優美の胸が熱くなった。

姉妹の間にあった溝が、初めて埋まりそうだった。