ネコのお話聞き屋さん

子猫はむすっとしてしまった。やっぱりまだ子猫なんだな。世の中わかってない。
「彼氏の話しよっかな。
優しくてイケメンだよ。
バカばっか言ってるクラスメイトとは大違い」
- ずっと「バカ」って言ってるの?
「え?」

いつの間にかスケッチブックは新しいページになっていた。

「え、えーと。まだ子どもなんだよ。うちのクラスの男子はさ」
- 彼氏は大人?
「うん!!
大学出たら起業するんだって。だから、今、いろいろ勉強してるの」
- 彼氏はスター?
「あ、スターじゃないけど、すんごい格好良い。アイドルかモデルみたい。
英語ペラペラで」
- そうなりたいの?
(え?)

子猫は茶色の丸い目をくりくりさせている。
(え? 私が?
彼氏みたいに?)

アイドルかモデルみたいに格好良くて、頭も良くて英語もペラペラで、将来は起業 -
(そうしたい。
でも、私、平凡だからそんなの無理)
スターになることも。誰かと食事をするアルバイトでさえ。

- スターになったら誰に見てもらいたい?