色褪せて、着色して。~番外編~

 スズメはトペニを乗せ、愛馬で村に向かっていた。
 普段は一人なのに、二人のっているせいか愛馬のハヤブサは少し機嫌が悪い。
「そもそも、村に高貴な人間が住むものなのか?」
「それは……」
 王族が住む領地、国家騎士が使用する土地。
 そして、王族に関係すると言われる人たちが住む村が近くに3つあるという。
 さっきから、質問するとトペニは黙り込む。
 スズメは、こいつは誰かの操り人形なのでは? と気の毒に思っていた。
 何も知らずに国家騎士団に放り込まれてしまったのではないか?

 A村、B村、C村。
 騎士団の拠点地からほどよい近さのA村の外れ。
「あ、ここっす」
 とトペニが言ったのでハヤブサを止めるように手綱を軽く引く。
「どう見ても、一軒家だが? おまえの言うやんごとなき方が本当に住んでいるのか?」
「えー、ここだと思うんすけど。俺も一回しか来てねえし」
 ハヤブサから降りて。スズメとトペニはぎゃーぎゃー言い合ったが。
 埒が明かないので、トペニはささっと早歩きで玄関の前に立った。

「こんちはー。トペニっす!」

 スズメは、「おい、言葉遣い!!」と突っ込んだ。
 これで、知らない人間が出てきたら。完全にトペニは誰かに騙されていることになる。
 暫くすると。
 がちゃとドアが開いた。
 スズメは出てきた人物に「は?」と声を漏らした。