その夜も。木の上で護衛を進めていた。
デイは木の上に座り込んでぼーとマヒルの家を眺めていた。
「お疲れさん」
ローズの声にデイは立ち上がって軽く頭を下げた。
ローズは夜でもサングラスをかけ、帽子を被っている。
「順調か?」
「はい。メグミさんより順調です」
きっぱり言い切ると、ローズの口角がわずかに上がった。
「しっかし、あの侍女…バニラって子は何者なんですかね。俺のこと瞬殺で気づきましたよ」
観察していると、バニラは出かける際。
デイの方を見て軽く頭を下げるのだ。
口パクで、ゆっくりと「ご苦労様です」と言っているのがわかった。
ニンジャは気配を消してなんぼ…のはずなのに。
姿を認識できるのは同業者か、それ以上の秘めた能力を持っている人間しかいない。
「まあ…人間国宝かな」
「にんげん…こくほう」
それは、何かの隠語か? と思ったが、デイは軽く頷くだけだ。
余計なことは質問する必要なんてない。
今宵も聞こえるピアノの音色。
騎士のリクエストを受けて、可能な限り毎晩コンサートをしているようだ。
「デイは、趣味は何だ?」
急にローズが質問してくるので。
デイは飛び跳ねそうになった。
「え? そんなの秘密に決まっているじゃないですか。ニンジャですから」
口から出たテキトー発言に。
ローズは睨むように、デイを見た。
サングラスを外すと、怒っているような表情だったのでデイは即座に「すんません」と謝る。
「ちゃんと、考えておけ」
「御意」
再びサングラスをかけたローズは、マヒルの家を眺めた。
寵姫なのだから、遊びに行けばいいのに…とデイは思ったが口に出すわけにはいかない。
いつものように、マヒルの護衛が郵便ポストから紙を回収して家に入った。
ピアノの音がやんだかと、思うと。
聞き覚えのある音楽が聞こえてくる。
「薔薇…ですね」
デイはちらりとローズを見た。
ローズが好きな曲だ。
ローズの口角が上がっている。
「良い曲だな」
いや、ローズ様もリクエストしたのか…
寵姫なんだから、堂々と弾いてもらうように言えばいいのに。
あんた、国王なんだろ。
デイは呆れ返ってローズを眺めるのだった。
デイは木の上に座り込んでぼーとマヒルの家を眺めていた。
「お疲れさん」
ローズの声にデイは立ち上がって軽く頭を下げた。
ローズは夜でもサングラスをかけ、帽子を被っている。
「順調か?」
「はい。メグミさんより順調です」
きっぱり言い切ると、ローズの口角がわずかに上がった。
「しっかし、あの侍女…バニラって子は何者なんですかね。俺のこと瞬殺で気づきましたよ」
観察していると、バニラは出かける際。
デイの方を見て軽く頭を下げるのだ。
口パクで、ゆっくりと「ご苦労様です」と言っているのがわかった。
ニンジャは気配を消してなんぼ…のはずなのに。
姿を認識できるのは同業者か、それ以上の秘めた能力を持っている人間しかいない。
「まあ…人間国宝かな」
「にんげん…こくほう」
それは、何かの隠語か? と思ったが、デイは軽く頷くだけだ。
余計なことは質問する必要なんてない。
今宵も聞こえるピアノの音色。
騎士のリクエストを受けて、可能な限り毎晩コンサートをしているようだ。
「デイは、趣味は何だ?」
急にローズが質問してくるので。
デイは飛び跳ねそうになった。
「え? そんなの秘密に決まっているじゃないですか。ニンジャですから」
口から出たテキトー発言に。
ローズは睨むように、デイを見た。
サングラスを外すと、怒っているような表情だったのでデイは即座に「すんません」と謝る。
「ちゃんと、考えておけ」
「御意」
再びサングラスをかけたローズは、マヒルの家を眺めた。
寵姫なのだから、遊びに行けばいいのに…とデイは思ったが口に出すわけにはいかない。
いつものように、マヒルの護衛が郵便ポストから紙を回収して家に入った。
ピアノの音がやんだかと、思うと。
聞き覚えのある音楽が聞こえてくる。
「薔薇…ですね」
デイはちらりとローズを見た。
ローズが好きな曲だ。
ローズの口角が上がっている。
「良い曲だな」
いや、ローズ様もリクエストしたのか…
寵姫なんだから、堂々と弾いてもらうように言えばいいのに。
あんた、国王なんだろ。
デイは呆れ返ってローズを眺めるのだった。



