色褪せて、着色して。~番外編~

 肉体班の頂点は暗殺部隊だと、こっそり教えてくれたのは、あの人である。
 他国ではニンジャという影の部隊が存在していて。
 それを元にした部隊が肉体班にはあるのだという。
 鎧兜を着ているというのに、音を出さずに歩く。
 それがどれだけ難しいことか。
 服を着るように、重さを感じさせることもなく。
 男は軽やかに歩いている。
 スズメは、恐ろしかった。
 只者ではないとわかっているが、誰なのか。

 鎧兜の男は、薔薇園へ入ると。
 立ち止まった。
「おまえは、この先もあの姫君の護衛をする覚悟はあるのか?」
「覚悟なんざ、初めっからある」
 スズメが言うと。
 男は「そうか」と小さく言い放った。
 ゆっくりと、その男が兜を取ったとき。
 スズメは絶句した。