ティルレット王国は晴れの国である。
雨が降るとしたら、いつも夜なので。
ぽかぽかとした暖かな日差しが降り注いでいた。
暖かさに加え、マヒルの奏でる音色に眠気を誘われたスズメは、ぶんぶんと頭を振った。
もう30分は経っただろうか。
マヒルは休むことなく、ピアノを弾き続けている。
あくびを噛み殺したスズメが前を見ると。
鎧兜を着た人間が立ってこっちを見ていた。
「何者だ!?」
悲鳴まじりにスズメは声をあげると。
剣を鞘から抜き取った。
王家の領地内で鎧兜を着た人間なんぞ、前代未聞である。
「……む」
「あん? 聞こえないぞ。兜を取れ!」
スズメが大声で叫ぶと。
鎧兜を着た人間は、音をたてずにスズメに近寄ってきた。
その動きを見て、スズメは肉体班でもとんでもなく偉い人ではないかというのに気づいた。
「おまえ…スズメといったか。ちょっと顔を出せ」
20代の男性の声だ。
酷く冷たい口調だった。
「俺は今、護衛中だ」
「心配ない。おいっ」
鎧兜の男が言うと。
目の前に背の高い男が現れた。
「こいつが姫君を見守ってる」
雨が降るとしたら、いつも夜なので。
ぽかぽかとした暖かな日差しが降り注いでいた。
暖かさに加え、マヒルの奏でる音色に眠気を誘われたスズメは、ぶんぶんと頭を振った。
もう30分は経っただろうか。
マヒルは休むことなく、ピアノを弾き続けている。
あくびを噛み殺したスズメが前を見ると。
鎧兜を着た人間が立ってこっちを見ていた。
「何者だ!?」
悲鳴まじりにスズメは声をあげると。
剣を鞘から抜き取った。
王家の領地内で鎧兜を着た人間なんぞ、前代未聞である。
「……む」
「あん? 聞こえないぞ。兜を取れ!」
スズメが大声で叫ぶと。
鎧兜を着た人間は、音をたてずにスズメに近寄ってきた。
その動きを見て、スズメは肉体班でもとんでもなく偉い人ではないかというのに気づいた。
「おまえ…スズメといったか。ちょっと顔を出せ」
20代の男性の声だ。
酷く冷たい口調だった。
「俺は今、護衛中だ」
「心配ない。おいっ」
鎧兜の男が言うと。
目の前に背の高い男が現れた。
「こいつが姫君を見守ってる」



