国家騎士は、身分・年齢は関係のない実力主義の世界だと上司は口を揃えて言ったが。
 実際は、権力者がはびこる世界だということをスズメは知っている。
 そもそも、新人や中途で入って来るにしても。
 この変な時期に入って来ること自体が異常…つまり権力者によるコネで入団したことが目に見えている。
「俺とおまえの部屋はここだ」
「え、ここ!?」
 坊ちゃんであろう、トペニは素っ頓狂な声で叫んだ。
 複数ある寮の中でも、ここは旧棟であって築50年以上のボロ寮だ。
 歩けば床はみっしみし音を立て、夜になれば隙間風で寒い。
 雨が降れば雨漏りするのが当たり前だ。

「え、こんな広いんすか。部屋」

 思わず、スズメはずこっとコケた。
 床がみしみしみし…と大きな音をたてた。