色褪せて、着色して。~番外編~

 今度こそ不敬罪で罰せられると覚悟していたスズメだったが。
 何も言われなかった。
 いつ言われるのだろうかと脅えていたが、1日、2日…7日と日が過ぎて行く。

 マヒルとは、あれから一度も口は聞いていない。
 嫌われているというのは、スズメ自身すぐにわかった。
 トペニと交代でマヒルの家を守る日々。
 セリたちが言っていたマヒルの夫という人を、スズメはまだ見ていなかった。
 よほど忙しい人なのだろう。
 一か月が経っても、ついにこの家に姿を現さなかった。

 それと同時に、国王とマヒルが会う姿をスズメは見ていない。
 愛人といえど、一か月は経つのだから会ってもおかしくはないはずだ。

 マヒルは、ほとんど家でピアノを弾き続けていた。
 毎日、夕方になると運動不足解消のためにウォーキングするというのが日課だそうだが。
 それ以外はずっと家にいる。
 誰も家に尋ねてくる人はいなかった。