色褪せて、着色して。~番外編~

 居間を覗くと、囲炉裏の前でサンゴが座っている。
 スズメに気づくと、「座れ」とだけ言った。

 仕事を放り出してしまったのだから。サンゴが怒るのは当然だ。
 覚悟を決めるしかないとスズメは座る。
「すいませんでした」
「わかっているとは思うが…」
 スズメの謝罪にかぶせるように、サンゴが言い放つ。
「騎士は感情で動くことだけはするな。冷静になれ。それだけだ」
 サンゴは囲炉裏で作ったスープを皿によそうと。
 スズメの前に置いた。
「俺はもう、おまえに教えることはない。明日から、護衛になれ」
 スズメは勢いよくサンゴを見つめる。
 うまく、言葉が出なかった。
 何故、この人は叱らないのか。

「冷める前に、さっさと食え!」