色褪せて、着色して。～番外編～

　朝の訓練が終わると。
「今日は屋敷の手伝いを頼まれてくれねえか」
　と、サンゴに言われ。
　スズメはカスミの住む館にやって来た。

「まあ、スズメさんが！？　わざわざごめんなさい」
　スズメを見て、驚いたようにカスミが大声で言った。
「大丈夫です。自分、今はサンゴさんの元で修行の身なので。何でも言ってください」
　普段、屋敷の掃除はカイを含め４人の青年が担当しているそうだが。
　今回は外面の窓ふきをするそうで。ヘルプとして手伝ってほしいという内容だった。
　カスミの前に青年たちが集まった。
「こちら、スズメさん。マヒルさんの護衛係なんだけど、今回はあなたたちと一緒に手伝ってくれるそうよ。よろしくね」
　ふんわりとした笑顔でカスミが言うと。
　４人の中で、眼鏡をかけた青年だけが嫌な顔をした。
「じゃあ、分担して。よろしくね」
　カスミが去ると一瞬にして静まり返る。
「今回だけ、よろしくな」
　年長者らしくスズメが言うと。
　眼鏡をかけた青年はあからさまに怒った表情で歩いて行ってしまう。

「なんだ？　俺は嫌われているのか？」

　スズメが声に出して言うと。
　背の高い青年と珍しい瞳の色をした青年がゲラゲラと笑い出した。
「違うんすよ」
「そうそう」
　背の高い青年がスズメに近づくと。
「あいつ、マヒル様が好きだから」
「うん？」
　言葉の真意がわからず、スズメが首を傾げる。
「だから、嫉妬ですよ。嫉妬」