色褪せて、着色して。~番外編~

 肉体班の英雄だったというサンゴ。
 そりゃ、そうだ。知らないわけはないのだ。
 スズメは鼻からゆっくりと息を吸うと「そうです」と声を張って言った。
「そうか、タヌキ軍団の息子か。おめーも苦労人だな」
 サンゴが言うと。カイがすぐさま何かを書いた。
「カラスなのにタヌキ?」
 というのが見える。
「そ。カラスだけどタヌキ軍団なんだよ。カイも気をつけろよ。カラスとタヌキは」
 カイはよくわからないといった表情を浮かべた。
 父親の話題を振られるたびに、自分の身がちぎれるような感覚になるのは。
 きっと自分が弱いからだとスズメは自分に言い聞かせる。