色褪せて、着色して。~番外編~

 初対面の人間に何故、そのようなことを言われなきゃいけないのか。
 状況が飲み込めず、スズメが固まっている間に。
 マヒルたちは帰ってしまった。
「木刀でいいから、俺にかかってこい!」
 何故、木刀を握らされているのか。
 スズメは木刀を見て、「何故」と呟く。
「いいから、かかってこい。おまえ、騎士なのに剣術はからっきしか?」

 考えてみれば。
 今まで、色んな人間に無茶振りをされ。
 馬鹿にされ、恥をかかされて生きてきた。
 ここで、疑問を持ったところで、どうしようもないじゃないか。
 目の前には、見るからに強い男が立っている。
 スズメは覚悟を決めて、サンゴに立ち向かった。