Still In Love

 コンビニ内の洗面所でコンタクトを外し、眼鏡をかける。
 店内で待っていたスギヤマは、
「なんか⋯⋯眼鏡かけてるの、久しぶりに見た」
 少し嬉しそうに言うが、
「早く行きましょ。終電逃しちゃう」
 私は、頑なに「早く帰る」という姿勢を崩さない。
「終電なら、もうとっくに行っちゃったよ?」
 のほほんと言われ、私は思わず顔をしかめてしまう。コンタクトを落としたりしなければ⋯⋯。自業自得だ。
「そう。じゃあ、タクシーで帰るしかないわね」
 普段、節約して生活しているのに、思いがけず無駄な出費だ。ラーメンの為に繁華街まで出てきて、深夜料金のタクシーで帰るとは、実にバカバカしい。


 コンビニを出て、大通りで車を拾おうと思ったが、さりげなくもう一度、片手を繋がれ、
「よかったら、歩いて帰らない?」
 スギヤマがそう言う。