Still In Love

 爽やかな笑顔でそう言われ、真夜中であっても、手を繋ぐことすらしなかった彼に、私は「この人だ⋯⋯」と感じた。

 それが、私たちの始まり。

 最初の頃は、ちょっとのことで、信じられないほどときめいた。
 手を繋いだり、軽く触れる程度のキスひとつだけでも、舞い上がるようだったのに。

 やがて、それは、親友のような気楽さや心地よさへと変わっていった。
 周りが、新しい恋に浮かれていたり、結婚が決まったりしているのを見ていると、ネガティブな気持ちばかりが募る日々。

 もっといろんな恋がしたかったのに、このまま付き合い続けることは、果たして正しいのか?と考えたり、心地よささえも、ただの倦怠期としか思えなくなってきてしまった。

 それは、やがて苛立ちへと形を変え、今に至る⋯⋯。