君と進む季節

コンビニから戻って、二次会に戻ったら、みんなに
「どこ行ってたん?」って茶化された。

俺が「ちょっとな」って笑ってごまかすと、
隣の君も同じタイミングで笑ってて、
誰かが「え〜、なんなんお前ら〜」って言ってくる。

そう言われると否定もできなくて、
なんとなくみんなも薄々察してる空気のまま、
俺は適当に笑って話題を変えた。

みんなの前じゃまだ、もうちょっとだけ秘密でいい。

二次会が終わると、外はすっかり雪が積もっていた。
店の前で解散して、それぞれ帰路につく。
君と俺は、いつも通り同じ電車に乗るために少し遠い駅まで歩いていた。

歩いてる途中、君は何度も滑って転びかけてて、その度に俺はヒヤヒヤしてたけど、正直ちょっと笑ってた。

「雪の日にそんな靴、危ないってわかってたやろ」

わざとからかうように言うと、君は小さく口を尖らせて「うるさいな」って言う。
その顔が可愛くて、何も言わんと笑いそうになる。

それなのに、君のヒールが雪に深く沈んだ瞬間、倒れそうになって俺の腕を掴んだ。

「ほらな、言うたやろ」

軽く笑いながら言うと、君はちょっと俯いて「うるさい」って小さく返す。
その声まで可愛くて、「ほんま、ずるいな」って思った。

しばらく無言で歩いてたけど、君がちょっと恥ずかしそうに俺の袖をつまんでくる。

「転びそうやったら、俺の腕、つかまっとき」

わざと軽く言うと、君は顔を上げて、少し照れた顔で「わかった」って素直に俺の腕を掴んだ。

そっと腕に君の手が絡んだ瞬間、何でもない顔をしながら、心臓だけは落ち着かなかった。

駅の改札前で、やっとその手が離れる。
残ったのは、冷たい風と、腕に残った小さな温もり。

何を言っても変なこと言いそうで、
君が雪に文句を言っているのを、黙って隣で聞いてた。
――可愛いなぁって、何回も心の中で思いながら。