それは愛じゃないよね。





「谷ノ森さん…」


「うるさい」



突然、ぎろりと鋭く太刀春くんのことを睨むわたし。


急すぎて、笑っちゃうよね。


ごめんね。太刀春くん。



ぐらりぐらり。揺らぐ愛のきもち。


澤部くんの、あの綺麗な顔立ちで眼鏡をかけた顔。そして癖っ毛。


普段の優しいあなたは今、家にいるかなあ。


ずっと引きこもっているかなあ。


だんだん騒がしくなってくる学校の玄関前。


ここは特別支援学校だから、障害の特性が重い子がいる。

だから基本的に誰かの奇声や泣き声でうるさい。


でもわたしや太刀春くんとかはそれが軽い方。


だけど奇声も泣き声もそんな大きく出さない。


そのくらいのモラルはあるから。