料亭の食事から3日たった。

椛は口をきいてくれなくて、
まったく話し合いもできていない。

「ただいま」

鷹村さんが帰ってきた、私は慌てて返事をする、

「おかえりなさい・・・って、椛?」

鷹村さんと一緒にいたのは、妹の椛だ。

「お姉ちゃん!ごめんなさん!
 わたし勘違いしていたの!!!」

その言葉に私の目が見開らかれる。

「お姉ちゃんが、てっきり愛人になったと思って、
 家政婦だって聞いてたのに・・・ごめんなさい!」

「そうだったの・・・いいのよ」

また凄い誤解だわ・・・
とにかく誤解が解けた事にほっとする。

「鷹村さん、ご迷惑をおかけしてすみません」

「いいんだ、それに椛さん、
 言いたい事があるんだろう」

「お姉ちゃん、私あのね、デザインの仕事がしたいの!
 それで、祐介さんのアメリカにあるブティックで、
 5年働いたら、専門学校へ行くお金稼げるって!

 それに仕事をしていたら、職業カレッジに行ったりと、
 もっとできる事増えるし、アメリカの美術館も行けるし、
 私もっとチャレンジしたいの!」

え?と思う。
そう言えば、どこか行きたい所はある?と聞いて、
アメリカだと椛は答えていた。
それを冗談だと流した自分を恥じる。
あれは本心だったんだ、そして、それを鷹村さんが叶えてくれた。

「私、お姉ちゃんの負担になりたくない、
 私の道は、私の力で切り開いていきたいの!
 それとこれ、叔母さんから」

私が妹を幸せにしないととずっと思ってきた、
でも椛は私が思っているよりずっと大人で、
自分の足で歩きたいんだとやっと分かった。

椛から渡された封がされていない封筒から、
手紙を出して読む、文章はシンプルに、

『幸せになっていいのよ』

とだけ書かれていた。