服装はさんざん悩み、結局、
ベージュに少し控えめのリボンが入った、
ワンピースに白いパンプスにした。

清楚系なら間違いないだろうと、
我ながら安直な考えだ。

待ち合わせの場所にいた鷹村さんは、
顔を少し赤くして、動揺しているようだった。

その姿に女性として意識されているのを感じ、
嬉しさがこみ上げてくる。

だめだめ、こんな事で喜んだら!
恋心封印!

自分に言い聞かせる。



小道を奥に入り、店内へと足を踏み入れる、
カウンターと広めのお座敷席4つという、
こじんまりとした作りだが、
どこか格式があり、一目で一流の店だと分かる。

これは相当いい店ね・・・

自分一人なら、絶対に入る事のない店に、
少し緊張を覚える。

いい機会だわ、鷹村さんの好みを知る以外にも、
この店の料理の凄さを少しでも盗めれば・・・

内心かなり気合が入る。

カン!と勝負の鐘が鳴った気分だ。

予約されていたので、すくにカウンター席に案内された。

笑顔が優しい女将さんが、
すぐに先付けを出してくれる。

美味しい!

しっかりした味付けなのに、素材の味も生きている!
確かに鷹村さん好みだと納得した。

これは味の秘訣を出来るだけ聞き出さないと!
私は更に気合を入れた。