ひとりぼっちの転生幼女でしたが、最愛の家族ができました~実は神子だった私、ハイスペ兄から溺愛されつつ癒しの才能発揮します!~




 空き時間は、施設のすみっこにある本棚を覗いてみる。
 幼児向けにわかりやすく大きな文字で書かれていて、神話を題材にした絵本のようなものが置いてあった。
 何人か集まってきたから、そのまま読み上げてみようとして……むむ? 文字が読めない……いや、読める? なんか文字を見たら理解できる不思議な感覚に戸惑ってしまう。

 幼女(わたし)の中には、先生から文字の読み書きを教わっていたという記憶がある。ただ、他の子は興味がないらしく、読めるのは私くらいだろう。もちろん十二番は論外だ。

「さんばん、よんでー」

「はやくはやくー」

 いつもくっついてくる子たちに急かされ、頭に入ってくる言葉をそのまま口に出す。
 子どもたちは案の定、内容が難しかったのかすぐに寝てしまったよ。食べたばかりだもんね。私は異世界の本に興味津々だから、まだまだ寝ませんよ。

 他の子は寝ているけど、そのまま読み上げていくことにする。なんか口がうまく回らなくて、訓練になるかなぁなんて思いながら。

「じんおうしゃまは、かみこしゃまと、いちゅも、せかいを、みまもって、おられれ、れれましゅ」

 なかなか難しいぞ。
 むむっと唸りながら本を読んでいると、やんちゃな十二番がやってくる。
 明るい茶色の髪をくちゃくちゃに乱しているのは毎度のこと。うっすらと頬にあるそばかすも、彼のやんちゃっぷりを物語っていた。

「そんなつまんないことより、そといこうぜ!」

「おそと?」

 私は知っている。十二番はしょっちゅう無断で外出をしているのだ。そしてガッツリ怒られて何度も泣いているのを見てきた。懲りないというかなんというか……。

 いや、外出制限されているのは当たり前のことで、私たちはたぶん五歳未満の幼子だ。なんなら乳児の子もいたりする。先生たちが付き添って屋外に出ることもあるけど、施設内のめちゃくちゃ広い中庭を散歩するくらいだ。

 そして気付いた。十二番は、外に出た時にその乱暴な言葉づかいを知ったのだろう。大人ぶりたいお年頃ってやつなのね。ヤレヤレだね。