え?なに?いちゃいちゃしてるのを邪魔しちゃったから、私殴られる!?
怯えながら、けれども動けずにいると、王子様が私のすぐ目の前に来た。そして。
「きゃっ!?」
王子様に腕を掴まれ、グイッと私の体を前に引っ張ると、物置のドアを閉め、ガチャッと鍵をかけた。
トンッ!
ドアに手をつき、私を見下ろす王子様。瞳の黒が綺麗で艶めいていて……美しくて。「王子様」って呼ばれるのも納得の美貌。同姓だけど、ドキッとする。
すると、王子様は私の赤い縁のメガネを取って傍にあった机の上に置き、私の顎をくいっと上げた。
「……ふーん、あんた結構可愛いじゃん。おさげちゃん」
にこっと、私の顔の前で微笑む王子様。甘い、いい匂いがする。その甘い匂いのせいか、なんだか頭がくらくらしてくる。
「名前は?おさげちゃん」
「あ……猫井です」
「猫井……ねこちゃんか。じゃあねこちゃん、お詫びにあの子の代わりに相手してもらうよ」
「えっ──」
甘い匂いが、唇に触れた。
キス、だ。王子様にキスされてる。
初めてのキス……しかも、女子にキスされるなんて。
王子様は最初、触れるようなキスをすると、今度は私の口の中に舌を絡めて深いキスを始めた。



