少しだけ声が震えた。
自分でお別れという言葉を使いながら、さっき見た圭太と榎本さんの姿がフラッシュバックして子供みたいに声をあげて泣きたくなる。
でもそんなことしたくない。
大人として何よりも部署の先輩として、塩谷君の前ではみっともない姿は見せたくない。
俯いた私に背の高い塩谷君の低い声が降ってくる。
「……始発まで猫、見に来ます?」
「え?」
「えっと……望月先輩、猫好きでしたよね。俺、保護猫引き取って暮らしてるんです」
「そう、なんだ」
(それ、どういう意味……ってひとつしか思い浮かばないけど)
正直言って、塩谷君のことを異性として意識したことは一度もない。
私にとって塩谷くんは仕事に対しては真面目で、性格は人懐っこく周りに気を遣える可愛い後輩だ。それ以上でもそれ以下でもない。
「とりあえずの避難所でうち来ますって聞いてんすけど?」
「えっと、うん。申し出はすっごくありがたいんだけど……さすがに後輩とはいえ、家に深夜に二人きりってちょっといかがなものかと……」
「なんすかそれ。俺が襲うとか思ってます?」
「いやっ、そういうわけじゃないけど……」
「無理矢理そういうことする趣味ないですし、そんなことして職失うとうちの可愛い猫、養えなくなるんで、大いに! 安心してください」
『大いに』のところを強調した塩谷君の言葉に少しだけショックな自分がいた。
(大いにって、ようは女としてみてないってことね、当たり前か)
自分でお別れという言葉を使いながら、さっき見た圭太と榎本さんの姿がフラッシュバックして子供みたいに声をあげて泣きたくなる。
でもそんなことしたくない。
大人として何よりも部署の先輩として、塩谷君の前ではみっともない姿は見せたくない。
俯いた私に背の高い塩谷君の低い声が降ってくる。
「……始発まで猫、見に来ます?」
「え?」
「えっと……望月先輩、猫好きでしたよね。俺、保護猫引き取って暮らしてるんです」
「そう、なんだ」
(それ、どういう意味……ってひとつしか思い浮かばないけど)
正直言って、塩谷君のことを異性として意識したことは一度もない。
私にとって塩谷くんは仕事に対しては真面目で、性格は人懐っこく周りに気を遣える可愛い後輩だ。それ以上でもそれ以下でもない。
「とりあえずの避難所でうち来ますって聞いてんすけど?」
「えっと、うん。申し出はすっごくありがたいんだけど……さすがに後輩とはいえ、家に深夜に二人きりってちょっといかがなものかと……」
「なんすかそれ。俺が襲うとか思ってます?」
「いやっ、そういうわけじゃないけど……」
「無理矢理そういうことする趣味ないですし、そんなことして職失うとうちの可愛い猫、養えなくなるんで、大いに! 安心してください」
『大いに』のところを強調した塩谷君の言葉に少しだけショックな自分がいた。
(大いにって、ようは女としてみてないってことね、当たり前か)



