それ以上、私は上手く言葉が出てこず、両手の中のミルクティーを見つめた。
塩谷君がコミュニケーション能力が高く、若いのにやけに気が利くのはそういう生い立ちがあるからなのかも知れないと思った。
「あのすいません、なんかつい話しましたけど……別に不幸とかじゃないですし、どちらかといえば幸せな環境で大事に育てられたと思うんで」
「うん……それはわかる」
「え?」
「塩谷君が入社してから、この一年半、私が一番塩谷君のことそばで見てたから。塩谷君って得意先に対して目先の利益よりも、相手に寄り添った提案を心掛けてるでしょう。ひたむきで誠実で、きっとご両親に愛されて育ったんだろうなって……」
「…………」
「あ、ごめん。なんか偉そうに言っちゃって」
「いえ……あの、すごく嬉しいです。先輩にそう言って貰って」
塩谷君は照れ臭そうに首の後ろに手を当ててからマグカップに息を吹きかける。
そして何度かそれを繰り返してから、そっとミルクティーを口に含む。
「ねぇ、前から思ってたけど、塩谷くんって猫舌だよね」
「こればっかは治んないですね。望月先輩は淹れたてでもガツガツ飲んでていつも凄いなって」
「ちょっとなんか馬鹿にしてない?」
「いえ、至って真面目ですけど」
「そうかな?」
私がじろりと睨むと場を和ませるように塩谷君はククッと笑って見せる。
そして僅かな静寂のあと、塩谷君が真剣な表情をすると静かに口を開いた。
「良かったら聞きますよ」
塩谷君がコミュニケーション能力が高く、若いのにやけに気が利くのはそういう生い立ちがあるからなのかも知れないと思った。
「あのすいません、なんかつい話しましたけど……別に不幸とかじゃないですし、どちらかといえば幸せな環境で大事に育てられたと思うんで」
「うん……それはわかる」
「え?」
「塩谷君が入社してから、この一年半、私が一番塩谷君のことそばで見てたから。塩谷君って得意先に対して目先の利益よりも、相手に寄り添った提案を心掛けてるでしょう。ひたむきで誠実で、きっとご両親に愛されて育ったんだろうなって……」
「…………」
「あ、ごめん。なんか偉そうに言っちゃって」
「いえ……あの、すごく嬉しいです。先輩にそう言って貰って」
塩谷君は照れ臭そうに首の後ろに手を当ててからマグカップに息を吹きかける。
そして何度かそれを繰り返してから、そっとミルクティーを口に含む。
「ねぇ、前から思ってたけど、塩谷くんって猫舌だよね」
「こればっかは治んないですね。望月先輩は淹れたてでもガツガツ飲んでていつも凄いなって」
「ちょっとなんか馬鹿にしてない?」
「いえ、至って真面目ですけど」
「そうかな?」
私がじろりと睨むと場を和ませるように塩谷君はククッと笑って見せる。
そして僅かな静寂のあと、塩谷君が真剣な表情をすると静かに口を開いた。
「良かったら聞きますよ」



